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仙台高等裁判所 昭和24年(を)415号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

判決要旨

臨時物資需給調整法第四条第一項第一条第一項石油製品配給規則第四条の処罰の対象となる「譲り受け」とは売買、代物弁済、信託的譲渡等による所有権の移転に基く取得行為であつて所有権の移転を伴わない物件の移動はこの規定による処罰の範疇に属さないものといわなければならない。

理由

臨時物資需給調整法第四条第一項第一条第一項、石油製品配給規則第四条(昭和二四年三月三一日交付の石油製品配給規則による廃止前の規則)による処罰の対象となる「譲り受け」とは売買、代物弁済、信託的譲渡等による所有権の移転に基く取得行為と解すべく単に所有権の移転を伴わない物件の移動の如きはこの規定による処罰の範疇に属さないものといわなければならない。よつて記録を精査するに、原審第一回公判調書中の被告人同第二回公判調書中の証人中道直一郎同第三回公判調書中の証人湊磯八郎各その点に関する供述記載によれば判示軽油は貸金四万円の担保として被告人が保管したものであることを窺いえられるのに拘らず原判決摘示の証拠によるも右軽油の所有権が被告人に移転した事実は之を確認するに由ない。されば原審が如何なる態様のもとに所有権の移転が行われたのかにつき審理を尽し、それに副う証拠の有無を検討した上判決をなすべきに拘らず斯く判示事実を判示証拠により認定したのは事実誤認ないし理由のくいちがいの違法があると断ぜざるをえない。

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